My important place【D.Gray-man】
第25章 ノア メモリー
「怪奇現象の解明、ね」
「はぁ…オレ、イタリアの任務がよかった…」
「ラビさん駄目なんですか? 怪奇現象」
「そ、そんなことないさー! 全然! オレがエクソシストのなんたるかを教えてやるから、しっかり学べよチャオジー!」
「はいっス!」
任務説明を終え、司令室を後にした皆と廊下を歩く。
なんとなしに呟けば、ガクリと肩を落としたのはラビ。
今回の中国任務は怪奇現象の解明。
神田とゴズのイタリア任務はイノセンス回収。
確かにイタリアの方が心霊系には出会わなさそうだもんね…わかるよラビ。
チャオジーに胸張ってみせる姿は痩せ我慢しているのがわかったけど、ラビの面子を立てる為にもそこは黙っておくことにした。
「でも廃墟って如何(いか)にもな場所だよね…やだなぁ…」
「雪…それ言っちゃ駄目さ」
手にした資料に視線を落としながら思わず嘆く。
ぽんと肩に手を置いてくるラビの声は重い。
なんでも村里離れた場所にある廃墟で、真夜中に人影を見たり変な声を聞いたり、そんな奇妙な情報が絶たないらしく。そこにイノセンスの可能性があるかどうか、調査しに行くのが今回の任務だった。
本来ならファインダーだけで行いそうな任務だけど、多分新人のチャオジーの為に室長は優しい任務を当てたんだろうな。
私とラビには全然優しい任務じゃないけど。
「腰退けてドジすんじゃねぇぞ」
「…気をつけます」
呆れた声を挟んでくるのは、同じく司令室を出た神田。
こういう任務内容の時は、心霊系に強い神田がいると心強いんだけどな…。
「オレらもイノセンス回収、頑張りましょーね! 神田さんっ!」
「回収だけなら一日も掛からねぇよ」
うきうきと声を上げるゴズに、神田は視線も向けずあっさり言い切る。
少し心配だけど、ゴズは神田をエクソシストとして尊敬しているし多分、変な衝突はしないだろう。
「ゴズも気を付けてね。AKUMAが出ないとは限らないから」
「大丈夫です! しっかり神田さんのサポートしてきますからっ」
憧れの神田と一緒の任務で余程嬉しいのか、心配して声を掛ければ満面の笑みで返された。