My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に
「神田がそうやって乱暴にするから、雪さんも隠れたくなるんですよ。自業自得ですね」
「勝手にこいつの気持ちを代弁するんじゃねぇよ。虫唾が走る」
至近距離で睨み合う二つの目。
バチバチと見えない火花が、間で散る。
ああ、結局こうなるんですね……私もう逃げてもいいかな。
「喧嘩するなら私はあっちに行」
「待てコラ」
「駄目です」
冷や汗混じりに二人の間から抜け出そうとすれば、同時に左右の腕をそれぞれに掴まれた。
何故。
というかそういう時は息ぴったりなんですね。
「だってなんだか喧嘩の理由に時々私入ってるし。もういない方がいいかなって…っ」
「そんなことないです。いなきゃ困ります」
「モヤシと二人きりなんざ死んでもごめんだ」
ええ、そうでしょうとも。
でも私だってこんな殺気立った二人の間に、挟まれるのはごめんです!
「じゃあ少しは仲良く」
して下さい。
と言いかけて。
──ヴンッ
それは突然、現れた。
「「!?」」
一瞬にして二人の動きが止まる。
アレンの顔に自動で現れたのは、左眼のスコープ。
そこに表示された印が、ズズッと四方八方から忍び寄る。
「ッAKUMAだ…!」
「何処っ!?」
声を上げるアレンに、咄嗟に居場所を問う。
何体いるのか。アレンのスコープの印が、幾つも中心に向かって集まっていく。
瞬時にイノセンスを発動させたアレンが、体に白いマントを纏う。
「場所は──…真下です!」
そう告げると同時に。ボコッ!と地面から突如飛び出た巨大な手が、私の足を掴んだ。