My important place【D.Gray-man】
第48章 フェイク・ラバー
「ぅ、ぁ…っ」
汗ばむ体に火が灯る。
熱を帯びる度に生まれる快感が、じわじわと内側から支配していく。
「体、震えてるね。またイキそ?」
ティキの指が熱を持つ膣内を弄る度に、落ちてくる快楽。
腰に引っ掛かっているだけのショーツも、肩まで捲られたベビードールも、体を隠す役割を放棄していた。
黒いマスカレードマスクの奥の瞳に舐めるように眺められる度に、ぞくりと肌が粟立つ。
「いいよ、何度でもイって。その方がお嬢さんも楽だろ?」
楽なはずなどない。
そう朧気に霞む思考の隅で思いながらも、体は蓄積した快楽に瞬く間に呑まれてしまう。
「ぁ…あッ…!」
何度も喘いだ声は、控えめながらも掠れていた。
緩やかな愛撫でも的確に責めてくるティキの指に、シーツの上で雪の体が波打つ。
薬でふやけた体で、指と爪先に感覚的に力が入る。
高みへと昇る体に、肌に浮かぶ汗粒が増した。
「っは…」
激しい交わりをした訳でもないのに息が上がる。
しかし神田と体を交えた後の、緩やかな開放感はない。
じくりと子宮の奥底が疼く。
「薬の所為かな。処女なんて思えないくらいイキっ放し」
感度が良いね、と笑う男の手が雪の腰骨のラインを優しくなぞる。
その仕草にさえも、ぞくりと肌は反応してしまう。
何度絶頂へ導かれたかわからない。
それ程に執拗に快楽に落とされた。
しかし全て緩やかな指先の愛撫のみで、それ以上は踏み込んでこない。
そのもどかしさに体の熱は燻るのだ。
「っふ…」
「ん?」
心地の良い声も、優しい愛撫も、甘い響きとなって体に火を灯らせる。
熱い吐息を零せば、覗き込むようにしてマスク奥の瞳と目が合う。
よくは見えない瞳の奥底に宿る"色"は、雪の首筋を纏うように。
声も愛撫も優しいものなのに、見つめる目は欲に満ち満ちていてぞくりと背中が震えた。
足りない、と体が疼く。
欲しい、と心が求める。
「欲しいもんがあるなら、ちゃんと教えて?」
まるで雪の奥底が見えているかのように、ティキは微笑んだ。