第44章 水魚の詩(うた)

枷の鎖が擦れる音がしたかと思えば、雪の細い指がふぐりに触れた。
形を辿ってなぞり、下から持ち上げるように撫で上げる。



「っ…ふ、」



息が漏れる。

こいつ、どこでそんな愛撫の仕方覚えてきてんだ。
前回はしてなかったじゃねぇか。

………またどこぞのAVか何かで知識拾ってきやがったのか。

そう考えるといい気はしないが、ふぐりを愛撫する手はぎこちなさも感じて、なんとなく責めんのは止めた。
自分なりに考えて、奉仕してんのかもしんねぇし…多分。

ただ手元にはぎこちなさが残るものの、唇と喉を使った奉仕は前より巧みになった気がする。
唾液を絡ませ小さな口全体を使って扱く。
雪の唇から、じゅぷりと溢れ出る淫らな音。
口元を泡立てながら粘膜という粘膜で挟んで扱いてなぞり上げる。



「っ…ぁ、く…」



その刺激に堪らず声が零れた。



「ゆふ…ひもちい？」



俺の半身を咥えたまま、もごもごとこもった声で問いかけてくる。



「っああ……溶けそ…だ」



雪の生暖かくて狭い咥内に、そのまま呑み込まれていきそうな感覚。
蕩けて吸い込まれて、そのまま溶けて混ざり合って。

雪の中へと呑まれていく。

堪らず零れた本音は雪の気に入るものだったのか、奉仕に力が入った。



「ん、ん…っ」



更に深く咥え込んでくる。
敏感な亀頭が雪の喉に擦れて、ぬるぬると気持ちいい。
あの狭い蜜部と似たような感覚。
このままじゃ雪の口ん中に出してしまう。



「っ雪…ッもう、出る…口離せ…ッ」



ズク、と下半身が震える。
欲を放つ予感に堪らず声を掛けた。

だが雪は咥えたモノを放そうとしないまま、目だけで訴えてくる。
大丈夫だとか伝えてるつもりなんだろうが、それは逆効果なんだよ。

本当は精一杯なんだろう、潤んだ両眼で見上げてくる。
俺のモノをいっぱいに咥えて、少し苦しげに眉を寄せた切な気な顔。



「チィ…ッ」



だから、そういう顔で見るなっつっただろうが。



「ん、ぐっ？」



堪らず両手で雪の顔を押さえ付ける。
目を丸くして戸惑う姿を余所に、欲のまま俺自身を捻じ込んだ。