【進撃の巨人】 never ending dream R18
第30章 永久に碧く~想い~
「こんなに近くにいるのに、触れられるのに…
君がとても遠くに感じるよ。」
エリクはそう言いいながら、私の手を強く握り締めた。
「遠くなんかない。
私はここにいるよ。
こうしてエリクの側に。」
私はエリクの手を握り返し、その手を引き寄せ、強く心臓へと押し当てる。
どうすれば、エリクにこの想いを…“愛している”と伝えられるだろうと、私はエリクの澄んだ瞳を真っ直ぐと見つめた。
「ほら。
私の身体は、あなたに触れられて熱くなる。
私の心臓は、あなたを思って鼓動を鳴らす。
…今は。」
“今は”
エリクと離れ、一歩壁外へと出てしまえば、私の心臓は人類の勝利のために捧げられたものとなる。
それでも、エリクにこうして触れている時だけは、私の心臓はエリクのだけのものだ。
心臓だけじゃない。
“今だけは”この心も身体も…全てエリクのものだ。
しかし、この逃れようのない現実は、エリクにとって耐え難いものだったに違いない。
エリクの表情が、少しずつ悲しみに歪んでいくのを感じた。