【進撃の巨人】 never ending dream R18
第24章 エルヴィン・スミス①
「少し外で酔いをさましてから戻るよ。」
暗闇の中、ぼんやりと兵舎の明かりが見えはじめた頃、重たい沈黙を破るように俺はそう言った。
「あぁ、あまり遅くなるなよ。」
そう力無く笑うナイルの顔は、どこか俺に対する後ろめたさを感じているようだった。
俺は兵舎へ戻るナイルを見送り、近くの裏山へと向かう。
あの時の俺は、親友であるナイルが選択した道を、素直に受け入れる事が出来なかったのだ。
俺の話す“父の仮説”を、「ただの妄想だろ?」と鼻で笑いながらも、いつも最後まで聞いてくれたのはナイルだけだった。
「壁外へ行ったら…」「巨人がこの世からいなくなったら…」と、瞳を輝かせながら語り合った日々。
ナイルと2人ならきっと、どんな夢でも実現出来るだろうと、まるで俺達は英雄にでもなったつもりでいた。
それなのに…
“憲兵団にするよ。”
それがナイルの出した“答え”だ。
しかし、本来であれば「これからは、それぞれの持ち場で役目を果たそう。」と、固い握手を交わせたはずだ。
親友とはそういうものだろう。
それなのに、どうしても俺はナイルの選択を素直に受け入れる事が出来なかった。
それは…
俺もマリーに惚れていたからだった。