青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第19章 蓋をした
引き渡された巨人は、駄々をこねながらも、氷室と劉に説得されて大人しく練習に参加する。
「鈴佳もアツシの扱いに慣れてきたみたいだね」
紫原を大人しく練習に参加させた氷室は、笑いながら私に言う。
「慣れないとやってけないからね、この先」
「確かにその通りだ」
そう言いながら、氷室の視線はいまだ僅かに駄々をこねる紫原とそれを宥める劉に。
そして、真剣な表情をして、口を開いた。
「…今、鈴佳とアツシが話してるのが聞こえたんだけど…」
ちょうど雅子ちゃんも体育館へ入ってきて、駄々をこねる紫原の頭を竹刀で叩く。
その様子を見ていると、氷室は私の方をゆっくりを振り返った。
「アツシも素直になったんだ。まぁ…アイツの場合は振られてしまったけどね。それでも自分の気持ちに踏ん切りをつけた」
「?」
氷室の言いたいことが分からず、私は首を傾げた。