第7章 今日からあなたの彼氏です
【影山飛雄】
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「もぉっ!影山くんのお馬鹿!」
「北川の方が馬鹿だろーが!ボケェ!」
いつもこうなる私たち。
本当はこんなハズじゃないのに…
「馬鹿馬鹿馬鹿!!もう、嫌い!!」
「はっ!?嫌い…だと…」
「だっていつも私の事チビって…言うじゃない!」
だから嫌いと言えば影山くんはプルプルと肩を震えさせる。
「あの……」
ちょっと言い過ぎたなと反省し謝ろうとしたらいきなり体が宙に浮いた。
「きゃっ!」
腰に当たる大きな手。
いつもとは違う景色。
私の体を支えているのは影山くん。
「これで……いいだろ?」
「………?」
「こ、これでお前はチビじゃねえ!だから…オレを嫌いになるんじゃねえよ」
きっとこれが影山くんの精一杯のなだめ方。
「オレはお前が好きだから…絶対に嫌いにならねーぞ」
「ふふ……」
「わ、笑うんじゃねえよ…」
「嫌いじゃないから。大丈夫…私も好きだよ。影山くんの事」
足が地面に付くと暖かな温もりに包まれた。
「……オレの彼女になって下さい」
無愛想だけど、私の好きな人。