第2章 写真に写る違和感
【涼太】
「は?……何、言ってんスか?」
高校に入学して初めて、精神的に頭を殴られたような気がした。
彼女は、ポニーテールの髪揺らして、オレの真っ正面に立はだかる。
「今日撮った写真。君から、何も感じ取れない……“楽しい”とか“強くなりたい”とか。………あー、私の腕のせいかもとか思ったんだけどね…」
彼女は自分の頭を指でこちょこちょ掻いた。
オレは図星を指されて、瞳が揺れる。
「…ごめん。君にも色々あるんだよね?こんな、よく知りもしない先輩に言われても、困るだけだ。ごめん。」
「…いや、いいっス。」
気まずいのか、彼女はまた後ろを向いて機材の片付けをし始めた。
「なんか、楽しくないんス。」
彼女が後ろを向いたからなのか、勝手に話し掛けていた。
「…オレ…なんでか、分っかんないんスけど…」
すると、彼女はこっちを振り返って、こう言った。
「2年、先に生まれた先輩からのアドバイス。
分からなくなったら、考えるより動け!」
「は?」
彼女は、顔だけオレを見て、言う。
「分かんない、分かんないって、うじうじ止まってるより、動いたら?君は考えるより行動してみた方がいいと思うよ。
…大丈夫、きっと分かる。」
そう言って笑った。
『動いてみる…か………』
言われたことを頭の中で復唱してみる。
そして、少しすっきりした感覚を覚える。
「そうっスね。明日、ちょっと行ってこようと思うっス。」
「うん? そっか、ガンバレ、1年くん。」
話が終わると、その後はオレのことなんか眼中にないのか、片付けに没頭しているだけだった。