第11章 Dの道
ドシャッ!と勢い良くキラたちの前に梟が降り立つ。
「あ、ありがとう…」
どうやらキラ宛の手紙のよう。
キラは手紙を受け取って梟に餌をやって労うと、ホゥと誇らしげに鳴いて再び羽ばたいていった。
(誰からだろう?)
裏返して差出人を見てもまたもや何も書いていない。
セブルスだろうか。
そう思って手紙を開けようとしたキラの鼻孔をくすぐる香り。
「ん…良い匂いがする」
(この香り、どこかで……)
くんくんと手紙に鼻を近づけていると、キャリーが手を差し出してくる。
「あら…香水かしら?」
キラから受け取った手紙からは、上品な甘い香りがした。
どこかで嗅いだことのある香りに、キャリーは目を閉じて考え込む。
「そうね…たとえば…パーティーとかで…」
ヘンリンソン家主催のパーティーか、はたまたどこか名家からの招待で訪れたパーティーか。
「ああ、わからないわ。どなたからの手紙なの?」
「名前、ないの」
「また? あなたの先生からかしら?」
そう口にしてから、キャリーは自分の言葉に即座に首を振った。
「そんなわけないわね。全く、らしくないわ。今のは忘れて頂戴」
「う、うん」
セブルスのわけがない。
失礼でもなんでもなく、それは事実だろう。
手紙に香りを付けるなどという洒落た行為は全く持ってらしくない。
(とりあえず内容を見てみよう)
封蝋をそっと剥がして便箋を取り出して開いてみると、流麗な筆記体が現れた。
(修了式の後、迎えに行くのでホグワーツ特急に乗らないで駅で待っているように…?)
要約するとそのように書かれていた。
「ご両親がお迎えに来てくださるとか…」
おずおずとしたアニーの言葉に、キラは曖昧に笑った。
差出人を書いていない時点で両親ではないだろう。
そして両親であれば、手紙は日本語のはず。
もし祖母が迎えに来るとしても、キングズクロス駅のはずだ。
この手紙、とっても怪しい。
「二枚目にはなんて書いてあるの?」
「えーっと…」
かさこそと音を立てながらキラは二枚目に目を通す。