第11章 届かぬ手紙 *番外編*
あの日アタシは久し振りに美術館へ足を運んだ。
その日はたまたま暇だったし、よく雑誌で見るゲルテナって人の作品に少し興味もあったから。
始めはそれなりに楽しく作品を見ていた。けど――いつの間にか人の気配が無くなって、気が付いたらアタシは一人ぼっちになっていた。
人を探しているうちに変な場所に迷い混み、迷っている途中で青い薔薇を見つけた。
その薔薇を見たとたん、何故か大切に持って行くべきだと思った。
アタシはその直感にしたがって、持って進むことにした。
戻ろうとは思わなかった。――いや、正確に言うなら、戻ろうとしたが出来なかった。今まで来た道が無くなっていたり、ドアが開かなくなっていたり……結局進むしかなかった。
ずっと歩きっぱなしだったアタシはちょうど良い場所を見付け、少し休んだ。
すると突然ガッシャーン!! と音がして、目の前の絵が落ちた。
アタシは驚いて立ち上がって、絵を見た。絵からは青い服の女が上半身だけ絵の中から出ていた。