第6章 独り、暗闇で
「急がなきゃ、イヴが……!」
まだ調べていない部屋。走ってきたアタシは、ドアの前で足を止めて息を整えた。
「ん?」
ドアの横に何かいる。それは一度見たら忘れられない、あの青い人形だった。
『さっきいいものひろったの わたしのたからものにするの』
「いいもの? そういえばこの人形、おなかが少しふくらんでいるわね……」
アタシは少し悩んだ後、人形の服を破いて中を見ることにした。……あまり気は進まないけど……
「よいしょっと」
中に入っていたものを取り出す。それは残り二つの絵の具玉のうちの一つだった。
「やったわ!! これで六つ目!」
絵の具玉は触れると消える仕組みになっているので、今回もすぐに消えてしまった。
キャハハハハハ!!
と、床に置いた人形がいきなり笑いだして、調べていない部屋へ走っていった。
「あの人形動けたの!? ……まぁ、マネキンが動くんだから人形が動かないわけが無いか……」
この美術館に入って様々な物に出会ったせいか、人形が動く程度で驚かなくなった。……慣れとは本当に恐ろしいものだ。