第3章 ◆過去と今
「今まで、君のわがまま聞いて
ラビとは任務行かせなかっただろう?
世界の危機的状況に君のその希望は通せないんだ。
分かってくれ、サラ。」
まるで、
別れ話を拒否するかのようなコムイの言い様。
それよりも、気になるところがひとつ。
今まで俺は、コムイかじじぃの策略で
サラとは任務外されていたのかと思っていたが
この扉の向こうの話ではどうも、
サラからの希望だったらしい。
教団内ではずっと引っ付いて来る癖になんで。
女って男のかっこいい部分とかに憧れるもんさ?
従って、俺の朝練にはいつもタオル片手に
ニヤニヤしながら見てんじゃねぇか。
終ったあとも『ラビかっこよかった!』って
タオル渡してくれて…。
ってことは、
それ以外の理由か…?
俺じゃなく、サラ自身の問題…。
だとしたら…、
「確かめねぇとな。」
気になったらとことん突き詰める性分なおかけで
ブックマン後継者でもある。
だからこそ、
この話を見過ごすわけにはいかない。
俺は扉にくっつけていた背中を剥がし
扉に向き直ると、そのままドアノブに手を掛け
何の躊躇いもなく、勢い良く扉を開けた。
「何の話さー?」
分かっていながらも白々しく問掛け、
「っ?! ラビ?!」
『…っ!』
二人の驚愕の表情を受けながら、
真相が確かめられると思うと楽しくて
少し表情がにやける。