第6章 東京遠征〜2〜 トラウマ
ー澤村ー
俺はそれを遠巻きに見ていた。
朱莉が主将たちに囲まれて話をしていた。
なんだかんだここに見た目で判断する奴はいなさそうだし(及川と黒尾に関しては俺としては油断ならないところだけど)問題無いだろうと思っていた。
朱莉は本当は優しいやつなんだ。
見た目や言葉遣いの悪さが目立ってしまうだけで。
朱莉を独占したいという気持ちと矛盾して、
もっと朱莉のことを知ってほしいと思った。
そしたら
朱莉が木兎の手を払い大声を上げた。
みんな何が起こったのか分からず、立ち尽くすしかなかった。
しゃがみ込み、床を見つめる朱莉の目は焦点が合っていなく、カタカタと震えていた。
ちょうど縁下が体育館に入って来て朱莉を見た時目を見開いた。
なにか知っている。
直感的にそう思った。
気づけば朱莉を抱きしめていた。
澤「朱莉!!!」
「や、、、ごめんなさッ、、、」
澤「朱莉、大丈夫!大丈夫だから!分かるか?」
「だ、、、ち」
澤「そう、だいち。分かるか?」
「わ、かる」
澤「大丈夫。大丈夫だからな?」
次第に落ち着きを取り戻したと思ったら、意識を失った。
朱莉を保健室に運びこむ。
澤「清水!朱莉を頼む。」
清「分かった。」
体育館に戻り、唯一事情を知ると思われる
澤「聞かせてくれるよな。縁下。」
縁下を呼んだ。