第33章 休息
「和也くん、お怪我したところ見せて?」
「うん」
「擦り剥いちゃってるね、痛くない?」
「センセが居るから、痛くない」
明らかなやせ我慢。
「そう…。
ねぇ、和也くん?」
治療をしながら尋ねる。
「なぁに?センセ」
「和也くん、ハンバーグ好き?」
「うん、好き。
センセの好きなものは、ぜーんぶ好きだよ?」
ニコリ、と王子様スマイル。
「先生ね…数字も好きなんだ」
「すーじ?お勉強好きなの?」
「うん。
和也くんのお家にも、クルクル回すのが付いてる大きな箱あるでしょう?」
「大きな箱…?金庫のこと?」
「そう、金庫。
先生ね、その番号を当てるのが好きなの」
「そうなんだ、変なのー」
「和也くん…。
和也くんのお家の金庫の番号、先生に教えて欲しいな?」
自分に惚れているのを知っているから、猫撫で声で尋ねる。
「センセ…それ、ダメだよ」
「どうして?」
「ママが、人に話しちゃダメだって」