第8章 少女の貴重な時間。
「神谷さん、ありがとうございます。すみません…」
「いいの、いいの!好きな女の子に服くらいならいくらでも買うよ」
「は、はい?」
この時、神谷さんは異性として好きだと言ったのに気づくのはまた別の話。
「じゃ、次どこ行こっかなー」
神谷さんはショッピングモールのマップを見ている。
私は時計を見た。
午後13時、収録があるはずだ。
私は手帳を取り出し、確認する。
やっぱりだ。
「あの、神谷さん。もうそろそろでお仕事入るんです」
「あ、そんな時間か!じゃ、俺も帰ろっと」
「神谷さん、もういいんですか?」
「うん。帰るよ。遥ちゃんが怖い目に合わないようにね」
神谷さんはまだあの時の事を覚えていた。
「すいません」
私は頭を軽く下げて、神谷さんと駅に向かった。