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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



(まだ様子見が必要さな、アレン)

(ですね)

「?」



きょとんと不思議そうな顔をする南の前で、お互いに視線を交わして頷き合うラビとアレン。
どうせエクソシストは、暫くは非番の身。
その間南の介護に努めたって、誰も咎めはしないだろう。



「はは。頼もしい二人だな」



そんな決意を固めた二人の心音を拾ったのか、マリが朗らかに笑い声を漏らす。



「二人が南の傍にいてくれるなら、此方としてもあり難い」

「そっそれなら私も!なんでもお手伝いするから、遠慮なく言ってね南さんっ」

「う、うん。ありがとう、ミランダさん」



そこへ意気込み強く両手の拳を握るミランダに詰め寄られ、南は苦笑ながらとりあえずと頷いてみせた。



「でも、これだけでも充分嬉しいんだけどね」

「? なんのことかしら」

「エクソシストの皆が、私の為に退院のお祝いに来てくれたこと。なんか贅沢な気分」

「え?普通ですよ、これくらい」

「そうよ、何言ってるの」

「そういう謙虚な所は相変わらずだな」

「ってかさ、寧ろなんで科学班連中は来ないんさ?そっちの方が謎だけど」



へへ、と少し照れ臭そうに、嬉しそうに笑う。
そんな南を前にして、何を言っているんだとアレン達は不思議そうな反応を示した。
本部襲撃事件で、体を張って戦ったのはエクソシストだけではない。
一般人である南もまた、その一人。
そんな彼女の退院を祝わずしてどうすると。

最後に解放された扉の向こうを見ながら、誰も訪れる気配のない廊下に首を傾げたのはラビだった。
南の入院中に一番この病室に足を運んだのはラビだったが、見舞いに来ればよく鉢合わせしていた科学班の面々。
途中からリーバーの姿もよく見かけるようになった。
彼の南に対する想いを知っているから、尚更。
何故こんな大事な日に出迎えないのかと不思議に思えば、ああと南だけが一人、納得した顔で頷いてみせた。

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