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科学班の恋【D.Gray-man】

第44章 新たな任務



「俺だって、こいつのお守りはごめんだ」



不意にソファで隣に座ってた神田の目が、私に向く。
引っ掛かる物言いだけど、この際無視。
それには賛成だったから。
私も暴君の世話なんてできない。



「うーん…仕方ないなぁ」



二人の意見に、やっと折れてくれたのか。
コムイ室長はポリポリと首を掻きながら、私に目を向けた。



「それなら南くんが一人選んで連れてくといいよ。信頼に置ける人」

「え?」

「でもエクソシストは無理かな。任務で足りなくなっちゃうから。護衛班辺りが丁度いいかもね」



急に振られて戸惑っていると、リーバー班長の体が私に向き直った。



「うちの奴らでもいいから、遠慮なく連れてけ。その体じゃ何かと不便だろ」



見下ろしてくる目は優しくて、でもその下にはくっきりと隈が残っていた。
私の為に、連日徹夜してくれてたからな…。



「……あ、あの…」

「ん?」

「だれでもいいなら…」



そう思うと、申し訳なさとかありがたい気持ちとか、色々なものが渦巻いて。



「り…リーバーはんちょうが、いいです」



この人の為に、何かしたい。
その気持ちが言葉となって、勝手に溢れていた。



「………俺?」



ぽかんと見下ろしてくる顔を見上げられずに、俯いて頷く。
アジア支部への旅路なだけなら、任務みたいな大変さはない。
少しの間でもいい。
リーバー班長に、ゆっくり過ごせる時間をあげたかった。



「また貴重な戦力を選んだねぇ」



ああ、やっぱり。
聞こえた室長の言葉は予想していたこと。
班長程仕事ができる人なら、手放したくないだろうし。
まぁ室長の場合は自分がサボるためだろうけど。



「うん、でもいいよ」



え?

思いもかけない了承に思わず顔が上がる。
見えた室長の顔は、にっこりと微笑んでいて。



「リーバーくんを、よろしく頼むよ」



そう、告げた。



「室長…それ逆じゃないんスか?」

「あははー、そう?」



二人の会話を耳にしながら、また俯く。

…よかった。

素直に感じたのは、班長の為に少しでも何かできたかもしれないという。
そんな、自己満足にも似た小さな喜びだった。









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