第15章 赤い夫との豪邸
「さてと……。では私はこれで失礼するよ」
お義父さんは席を立って言った。
『どこかへ行かれるのですか?』
「ああ、また会社へ行くよ。タイとテレビ電話で話し合いがあってね」
「俺もよくしますよ」
征十郎が1口紅茶をすすってから言った。
『そういやよくしてるね。あれのことか』
「私ともよくするな」
『え。そうなんですか?』
私は驚いて言った。
「ああ。しているよ。おっと、もう時間だ。少しの時間だったが本当にすまないね。」
「はい」
『美味しい食事を有り難うございました。お気を付けて』
「ありがとう」
お義父さんは少し片手を挙げて出ていった。
バタン
「俺たちも部屋へ戻ろうか」
『うん。もう眠い』
「一緒にお風呂に入るか?」
『人のお家だから嫌』
「じゃあ帰国してからだな」
征十郎は何か企んでいるような笑みをして私を見た。
『………私が覚えてたらね』
私がそう言うと征十郎は少し笑って、部屋へ行くぞとだけ言うと扉を開けた。