第14章 赤い夫とのご挨拶
「ほんとにすまなかったよ」
征十郎は私の頭をなでた。
正直言って、なでられるのは嫌いじゃない。というか好きだ。征十郎になでられると顔がほころんでしまう。
『いいよ。もう怒ってないよ』
私は征十郎の目をしっかり見て言った。
ぷるるるるる。ぷるるるるる。
電話が鳴り響いた。秘書さんが電話をとって応答するとお義父さんに用があるらしく、渡しに歩いてきた。
〈国際部の青田さんからお電話です〉
『え。部長?』
お義父さんは笑顔で話をし始めた。
『なに?なに話してんの?』
「俺にもわかりかねるよ…………」
『うわぁぁぁぁ』
それから2〜3分ほどお義父さんと部長が話していた。
「ああ。ではまた」
〈電話ありがとう〉
〈はい〉
秘書さんは電話を受け取ると、自分の机へと戻っていった。
『お義父さん………。なんの話をしていたのですか?』
「ああ。しばらくの間お世話になりますっていう電話だよ。緊張しているだろうからほぐしてやってくれと言っていたよ」
『部長ぉぉぉ』
ああ、いい上司を持ったと私は心底思った。