第14章 赤い夫とのご挨拶
チーン
エレベーターの扉が開かれた。
ドクッドクッとさっきから心臓の音がうるさい。
「…………美桜。大丈夫かい?」
『だ、大丈夫です』
結婚式前に少し会ったのだが、その時は浮かれていたせいかあまり緊張はしていなかった。
「ほら。行くよ。もうすぐそこだ」
征十郎は私の手を握ると歩きだした。
コンコン
征十郎は木でできた扉を叩いた。
「入れ」
扉の向こうから声がする。
「失礼します」
『し、失礼します!!』
私と征十郎は言われたとおりに中へと入った。
「やあ。よく来てくれたね。長旅ご苦労だった。まあそこへ座ってくれるかい?」
黒いスーツを身にまとったお義父さんが目尻に皺を寄せて微笑んで言ってくれた。
私たちは向かいにお義父さん、私と征十郎は横に並んでソファに座った。