第13章 赤い夫とのアメリカ
ついに出発する日がやってきた。空港までは執事の人が送ってくれるらしい。
『忘れ物はないよね………?』
「仮に忘れたとしても、向こうで買えば大丈夫だよ」
『うん。そうする』
プルルルルル、プルルルルル
征十郎のスマホがなる。
「迎えの車が着いたみたいだ。行こう」
『そうだね』
私たちは数週間空ける家に向かって
『「いってきます」』
と言って、ドアを閉めて鍵を掛けた。
~車内~
『送ってくださってありがとうございます』
私は執事さんに言った。
「これが私どもの仕事ですから」
そう言うと執事さんは鏡越しにい微笑んでくれた。
「そういえばこの車に乗るの久しぶりだな」
『いつも運転してるからね。変わるときもあるけど』
「そうだね。ところで美桜」
『何??』
「緊張しているのかい?とても手が冷たいのだが………」
『だって、お義父さんと久しぶりに会うし、部長にこんな大役まかされて緊張しないはずがない………』
「青木も信頼してるんだと思うよ。それに会いたいと言ってきたのは父さんからだから大丈夫だよ」
征十郎は私の頭を撫でながら言った。