第12章 赤い夫とキセキとの別れ
トントン。ジュージュー。トン。
包丁で野菜を切る音。フレンチトーストをフライパンで焼く音がキッチンに響く。
『誰が1番早く起きるかな?』
「黒子だと思うよ。たぶんもう起きてる」
「あの…………。おはようございます」
テツヤが頭を寝癖で爆発させてキッチンにきた。
「おはよう」
『うわ!征十郎の言ったとおり!というか髪直しておいで?』
「はい。それにしてもいい匂いですね。フレンチトーストですか?」
『うん!!皆起きるまで待ってて』
「起こしましょうか?」
『いや?いいよ。睡眠の邪魔するのも悪いし』
「起こそう。冷ますのが勿体無い」
『じゃあよろしくー』
征十郎とテツヤがどんな方法で起こしたのかわからないが、さつきと真太郎以外苦痛な顔をしていた。
「美桜っち…………。おはようっス」
『ん。おはよ。………何があった?』
「マッサージしただけだよ」
征十郎は笑顔で言った。
「あれはマッサージじゃないっスよー!!」
「そうしないとお前たちは起きないだろう?」
「ううーー」
涼太は今にも泣きそうな顔をしていた。
『ほら。できるまでリビングで待ってて。顔洗うとかしてたら?』
「そうするっスーー」
涼太はリビングへと戻っていった。