第20章 赤い夫との再開。そして入社
私は座り直して言った。
『私が言うのも何ですが……。他に質問する事は無いのですか?』
「ああ。俺は父さんから選ぶ人材は任せると言われている。だからこの場で合格者もだしてもいいそうだ」
『ということは……』
「東は合格だよ」
私は心の中でガッツポーズをした。
「あと…」
『はい?』
「東には俺の秘書もしてもらう」
『………………え?』
「驚くのも無理はないだろうな」
『どれだけ私を驚かしたら気い済むんですか』
「もう敬語使わなくていいよ。違和感があって気持ちが悪い」
『しかし……』
「社長命令だ。お前は特別だ」
“特別”という言葉が嬉しく思った。
『じゃあ、使わしてもらうな』
「東と話しているときはこれが一番良いよ」
『私は社長に敬語で話させんことに違和感感じてんねんけどな』
「ふっ。そうか」
征十郎は笑いながら言った。私もつられて笑う。
「これからよろしくな」
征十郎が手を差し出す。私は立って少し前に出てその手をとった。
『よろしくお願いします』
こうして私の入社は決定したのだった。