第19章 赤い夫との出会い
「コーヒーありがとう。そうか?俺から見ればだいぶ老けたと思うのだが……」
『どういたしまして。征十郎がそれで老けてたら私はどうなるの』
「美桜は……綺麗になった」
『……どうも』
「もう少し喜んでもいいと思うのだが」
『いや、あの、その言われて嬉しいよ?』
「そうか?」
『うん。あ!これ!2年生の時の集合写真!!同じクラスだったなー』
「ああ。覚えてるよ」
『確かあの時って………………』
話は10年遡る。
4月。15歳の私は無事に洛山高校に合格して入学式を迎えた。
「新入生代表。赤司征十郎」
「はい」
体育館に凛とした声が響く。
赤い髪綺麗やな…………。というかあの人が首席なんや。だいぶ勉強頑張ったんやけどなー。くそーー。
私は征十郎が将来の夫になるとは知らず、登壇する征十郎を見ながら拍手をして、そんな事を思っていた。
それからと言うものの、征十郎とは一切話すことは無かった。ただ、毎日のようにクラスの女子からの口からは征十郎の名前を聞いていたが。
この時の征十郎のあだ名。いや、呼ばれ方は"赤司様"だった。今思ってもおかしいと思う。
「赤司様ってほんまにカッコいいよな!!美桜もそう思うやろ?」
私といつも仲良くしてくれている友達の希美(のぞみ)が言った。
『んー。髪の色は綺麗やと思うけど……。特に何も思わんかな。強いて言うなら赤司くん頭良いから勉強教えてもらいたいわ』
「え!?それだけ!?」
『うん。あと、何から何まで完璧すぎて正直いって気持ち悪って思う時もあるしな』
「気持ち悪いて……。とりまき達に聞こえたら大問題やで?」
希美は周りをキョロキョロしながら言った。
征十郎のとりまき達のいい噂は一切聞こえなかった。最近では“制裁”と呼ばれるいじめがエスカレートしていた。
『ごめん。気をつける』
「うん。敵に回すと厄介やからなー」
『そうやな……』