第17章 赤い夫との誘拐
〈では私はこれで失礼いたします〉
〈ああ。ありがとう。すまないね〉
秘書さんは私に優しく微笑んでから外へと歩いていった。私はその背中を見送りながら静かに頭を下げた。
「とりあえず着替えたら?」
『うん。そうする』
「俺はロバートに電話してみるよ」
征十郎がロバートさんに電話している間に私は手早く着替えた。
〈征十郎!美桜!無事か!?〉
ロバートさんが血相をかかえてこちらへ走ってきた。
〈ロバート。お前も無事だったか?〉
《あの、ロバートさん……。ご迷惑おかけしました!!私の不注意でこんなことに…………》
〈俺は全然大丈夫だ!美桜。俺もあの場所は危険だと言わなかったのも悪い。ごめんな〉
ロバートさんは私の肩に手を置きながら言ってくれた。
〈とりあえず車に乗れ。そして会社へ戻るぞ〉
〈ああ。ありがとう〉
私たちは車に乗り、会社へと戻った。
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