第1章 プロローグ
「この教会なんだ、きっと……」
――リンゴーン…リーン…ゴーン…
突如鳴り響く鐘の音。
どこかその音色は物悲しく、私の胸は締め付けられるようだった。
「……もう行かなきゃ……」
目の前に座っていた影がすくっと立ち上がる。
ステンドグラスから降り注ぐ光が彼の金色の髪を照らし、さらりと靡かせた。
「王子は、必ず迎えにくるから……」
本当に? 嘘じゃない?
何度も心の中で彼に問いかける。
「……約束」
その言葉を最後に。
彼の姿が、声が、急に遠退いていく。
教会やステンドグラスは白に塗りつぶされていく。
――あれは、そう。
彼との遠い約束。