第15章 プロミス
どんっ
『、っぉうっふ、!』
「わゎっ!」
10月。
ついこの前まで夏服が活躍の場をキープしていた季節。・・・小説ってのは時の流れがデタラメなのさ。
今日は何やら学校が騒がしい。
右を向けば女子がきゃーきゃー、左を向けば男子がうおおお。・・・あれか、みんな情緒不安定な日なのか?
まったくうるさいなー、と思いながらせっかくの自由日だから我が相棒のハープ無しでは完成しなかった曲の歌合わせをしようとレコ室に向かっていた時だった。
もうちょいでレコ室到着・・・のはずが誰かに後ろからぶつかられた。ぶつかられたって言うか、衝突された?
「あいたたた・・・・・・。
ってキミ、大丈夫っ!?」
『い、った・・・。
え?あ、はい。大丈夫ですけど』
「そう、それならよかった。
ちょーっと急いでたからさ・・・ってわわっ、見つかっちゃう・・・っ!」
『・・・??・・・、なるほど。
こっちです』
ぐいっ
「えっ?
ちょ、ちょっと・・・!?」
がちゃっ、
ばたむっ
レコ室の鍵を使って、開けて入ってすぐ締める。
その少し後に外からばたばたと音が聞こえてくる。
・・・あー、やっぱりか。
『ギリギリセーフ・・・。
外が落ち着くまで出ない方がいいですよ』
「っはぁー、・・・みたいだね。
でも、此処入っても良かったの?
レコーディングルームって予約制だったと思うけど」
『あー・・・なんて言うか、諸事情により専用?みたいなもんなので大丈夫です。
・・・もしかして、早乙女学園のOBですか?』
「へえ、専用なんだ・・・凄いね!
うん、卒業生だよ。キミは・・・制服からして現役バリバリの生徒だよね?」
『現役バリバリ・・・まあ、そうです』
「そっか!
うーん、懐かしいなあ。制服。ぼくも若い頃は着て音楽のイロハを勉強してたんだよ〜?」
『・・・あのー、ところで・・・』
「ん?何かな?」
『私、歌いたいんですけど・・・』
「歌・・・?
あっ、そっか。ぼくは全然構わないよ。
思いっきり歌っちゃって☆」
『では、お言葉に甘えて』
薄緑のパーカーを着た、茶髪のぐるぐるメガネを装備してるお兄さんにそう言われて私は音源データの入ったUSBを接続した。そしていつも通りにセットして、録音ブースへと入って行った。