• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第51章 選んだ果てに




嫌な予感は的中してしまった。
いつもは外してばかりなのに、こんな時ばかり当たってしまう己の予感を呪いたくなる。

サカズキがやってくる。

どうして今日なのだろう。

昨日でも明日でもなく、どうして今日……。

海兵たちは、なおも話し続ける。

「元帥殿が、なにをしにいらっしゃるんだ?」

「さァな。上の考えなんて、俺たち駐屯兵には関係のないことだろ。」

「それより、元帥殿がいらっしゃる前に、早いところ爆発の理由を調べなくては。」

こんな失態が知られたら、叱責で済む話ではなくなる。
サカズキは自分にも他人にも厳しい男。

急ぎ足で備蓄倉庫へ向かう海兵たちを、モモはなんとかやり過ごした。


「そんな、今日だなんて……。」

ひとりになって、ぽつりと呟く。

急がなくては。
サカズキの来訪を知った今、この島は冗談ではなく危険である。

(わたしのビブルカードなんて、もうどうでもいい……!)

サカズキと一戦交えたあの日から、まだひと月も経過していない。

バケモノ級の回復力を持ったローの怪我は治ったけど、そんな短期間では実力が縮まるはずもなかった。

正面衝突をすることとなれば、サカズキは今度こそ、モモたちを逃がしはしない。

少しでも早くローのところへ行きたくて、危険を省みず、藪から飛び出した。

あまりにも慌てていたため、樹の根に躓き、砂浜に転がった。

幸いなことに、柔らかな砂浜では痛みも感じなかったが、転んだ拍子に口に砂が入り、ゲホゴホと咳き込む。

口もとを拭いながら、ふと海を見た。

すると、どうだろう。

大海原の向こう、海平線の先には、堂々と走る船影が。

ここからでは、その船が何者かはわからない。
でも、モモにはなぜか見えていた。

悠々と空を舞うカモメのマークと“MARINE”の文字が、風を受けるマストに描かれている様が。



/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp