第1章 肉食系俺様男子の場合
「……どういうこと?」
やはり、騙されたのだろうか。
ダウンロードしたことで、不正請求なんてされては堪ったものじゃない。
「……もし変なメールや電話が来たとしても、相手にしなきゃいいんだもんね」
メルアドやプロフィールのような情報を詳しく送った訳ではない。
しかしながら、現在のネットワークというのはどこから情報が漏れるか知れない。
(一応、用心しておこう)
忠告を自分の胸に言い聞かせる。
スマホには特に不具合が生じた様子も見られないしと、その場は鈴花も気にしないことにした。
「帰ろう…っと」
アプリゲームへの興も削がれ、スマホを鞄に戻してから、飲み干してしまった空の紙コップを手に席を立つ。
ゴミ箱に紙コップを捨て店を出ると、鈴花は家路を目指して近場の駅へと足を踏み出した。
――この時の彼女はまだ知る由もなかった。
アプリゲームをダウンロードしたことで、非日常の3日間が訪れようとしている事を。