第43章 愛の毒/徳川家康
庭からであろうか?
ウグイスの鳴き声で春の訪れを知る愛香
きっちりと閉まっている襖からは外の景色を伺い知る事は出来ない。
「外の空気に触れたいな……」
数ヶ月前、何者かによって毒を盛られてしまった愛香。
その毒は、神経を麻痺させる毒であったため体の自由を奪われてしまっていた。
「寝たきりになってどのくらいたつのかしら」
色々な解毒剤を飲んでみたものの、一向によくならない体。
今では自由に動けるのは首から上だけになってしまっていたのだ。
そんな愛香を親身になって看病してくれるのは、家康であった。
「愛香……起きてる?」
「うん……」
静かに襖が開き家康が入ってきた。
「調子はどう?」
「ん……」
自分の指を動かそうとするが、力が入らない。
まるで、神経が通っていないような感覚
「やっぱり……ダメみたい」
「そう……」
諦めたような弱々しい笑みを家康に向けるが、家康の表情は変わらない。
「早く治りたいな……」
「大丈夫……きっと良くなるよ」
「うん……」
家康って優しいな
動けない私に寄り添ってくれる
家康が傍にいてくれたから私は、まだ生きていける
早く治りたい