第3章 兄弟
帰りの馬上
サブローは早速教科書を開いた
「なるほど、それで兵法の勉強をなさるのですね」
何かに納得してる恒興ちゃんだけどあれ、ただの日本史の教科書だから
日本の歴史が大まかに書いてあるだけで兵法とか一切書いてないし
勿論そんな事言えないから恒興ちゃんの後ろで黙っていた
「ダメだ…大まかな事しか書いてない」
そりゃそうだ
言葉を飲み込む
「宮ちゃん、何かこう…信長がどう考えてどう日々暮らしてたのかって、知らない?」
そこで私に振らないでください!!
叫びたい衝動を抑えて深呼吸する
サブローと居るとどうも言葉を飲み込むことが多い
要するに、突っ込みどころが多いって事なんだけど
「殿…私が知る訳ないじゃないですか」
「そうですよ。殿のお考えは殿にしか分かりますまい」
恒興ちゃんの思いもよらないフォローによりスムーズな会話運びとなった
「だよねー…ま、いいや。好きに生きよう」
サブローが好きに生きる、とは不安しかないのだが大丈夫なのだろうか
しっかりと歴史を築いてくれたら
本能寺とかそういう面倒臭いのは綺麗に忘れ去って、その時の私はそう願った