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苦しみの中の幸せ〔銀魂 土方おち やや逆ハー〕

第2章 嫌だった事は、何故だか分からないが忘れられない



刃物がぶつかり合い
耳を塞ぎたくなるようなけたたましい金属音が
絶え間なく産み出されている。

光と影があるのなら
この場所は影の部分だと
その少女は言った。

『一般論ではね…』

小さく呟いたその言葉は、誰に拾われるわけでもなく
ただ虚空をさ迷い続ける。

空を厚く覆う、その雲さえも彼女の言葉に耳を貸さない。

誰にも相手にされていない。
彼女はそれが分かっていた。

だからこそ、この場所にいる。

『私にとってここは、輝ける場所。必要とされる場所』

そう言うと、腰に差していた一振の刀を抜いた。
昔、習ったように構えれば、自身の血が沸騰したのではないかと錯覚するほど
体が熱く
そして騒いだ。

そんな感覚に、彼女は笑みを浮かべる。
まるで、新しい玩具を与えられたかのように
無邪気で
心の底から嬉しそうに。

そして、真っ直ぐ見つめた。
自分が必要とされている世界を
絶望以外に残っていない世界を

大切なものが奪われた世界を

『壊してあげる、なにもかも』

少女は言った。

『だってあなたたちは、全てを奪った』

その目には何も映っていない。

『だから私も』

金色の瞳には赤い赤い血が映る。

『奪うの』

血糊のついた刀を、見つめ
微笑んだ。

『私の名は舞鬼神』

誰にも媚びず
生きていく
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