第4章 闇の彼方まで
彼の手が再び私の帯に伸びて、いとも簡単にほどかれてしまう。
帯を失った寝間着は左右にだらしなく拡がり、私の生まれたままの姿全てが彼の目に晒された。
抵抗するのを諦めてはいたけれど、それでも無意識に内股を擦り合わせ、両腕で胸を抱え込み、何とか彼の視線から身体を守る体勢になった私にまた冷徹な言葉が浴びせられる。
「隠すなよ。………全部見せて。」
彼はほどいた帯で私の両手首を縛り上げ、その帯の先を床柱に括り着けた。
私の両手は頭の上で固定された形になり、否応なしに羞恥と恐怖が際限無く沸き上がって身体ががくがくと震えた。
「有希………綺麗だ…」
彼の両手が柔々と私の乳房を揉み拉き、指の間で先端の突起を弄ぶ。
「………っんん………く…………」
生まれて初めてのその刺激に、耐えきれず声が漏れる。
その声を聞いた彼は、何故か眉を寄せて辛そうな表情になり
「俺………もう、無理だ。」
と呟いたかと思うと徐に私の肩の辺りに跨がった。
一体彼が何をしようとしているのか全く理解出来ず、混乱し怯えた視線を泳がす私のその目の前で、彼は自身の着物を寛げ窮屈そうに収まっていた牡茎を取り出した。
「………………っっ」
初めて間近で見るそれは彼の下腹に届きそうな程反り立ち、血管を浮き上がらせた先端からは透明な液体を滴らせて、ぬらぬらと照っている。
その異形さと牡の匂いに耐えきれず、私は顔を背けぎゅっと目を瞑る。
「……頼むよ……有希……」
………頼む?……一体何を?
それでも微動だにしない私の顎を彼の左手が掴み、正面を向かされた途端、牡茎の先端が私の唇に擦り付けられた。
生臭い匂いと、にちゃにちゃという音に身体中が総毛立つ。
彼が何を望んでいるのかやっと分かった。
分かったからこそ、それを阻止する為に私は唇を固く結ぶ。