第1章 ドキッ男だらけの相合い傘選手権/刀剣乱舞
「さーあ、いよいよラストだ。最後に登場してくれるのは、誰よりも早く動き主命を果たします。Mr.社畜、へし切長谷部!!」
「いよいよ俺の出番か」
最後に登場したのは怠慢は許さないへし切長谷部。今回急遽出場となったためどのような結果になるか誰も予想ができない。
「じゃあ行くぜ、スタート!!」
【case6:へし切長谷部】
『長谷部ー!!準備できた?』
「はい、資料は持ちましたか?」
『バッチリ!じゃあ行こうか』
俺たちは今から次の演練相手の奴のところに打ち合わせに行く。本当は主一人で行くのだがなんといっても方向音痴なため、毎回俺がついて行っている。
『あー、雨だね…』
「その様ですね」
隣でため息をつきながら雨傘を開く主。行こうか、と言われ歩き出す。
『あれ?長谷部傘は?』
「ご一緒させてもらってもよろしいですか?」
『いいけど、珍しいね。長谷部が自分から相合い傘したいなんて』
「ご希望ならば雨が降る度してもよろしいですよ?」
『遠慮しときまーす』
笑いながらそんな冗談を交わし、主から傘を受け取った。
傘に落ちる雨音がやけによく響く。無言のまま着々と目的地に近づいていく。
ふと隣を見ると強ばった顔をしている彼女。
「主」
『はいはい』
「俺との相合い傘はそんなに緊張しますか?」
『緊張…ていうか、いつもより近いからなんかドキドキしちゃって』
顔を赤くさせぼそぼそと喋る主。
「では何か話しながら歩きましょう。そうすれば緊張も解けますよ、きっと」
『そうだね!』
それからいつものように話しながら、目的地へと足を進めた。
「お、おお!なんだよ!ピュアかよ!」
「黙れ獅子王。これが俺の本気だ」
「では審査員から好評を、大倶利伽羅」
「ふんっ」
「き、貴様っ!!!!」
「まあまあ落ち着けって、さて気になる得点は!?」
【へし切長谷部:7点】
「7点…まあ7点だな!ありがとうございましたー」
「貴様ら…斬る!!」
暴れそうな長谷部を警備係の太郎太刀が抑え控え室に連れていかれた。