第9章 ショートケーキ会談【月島蛍】
「ほらぁ、彼女サンのことはどう思ってんの?ね?」
「…本気で言わせる気ですか…」
はぁぁ…と、背中を丸めて長く息をつく。
そして顔を背けるようにして、
「…好きですよ、史上最強面倒な人ですけど」
と言った。
ほら、先輩には抗えない。そうでしょ?
「はい、よく出来ました!」
「…?!」
私はショートケーキのクリームの上にちょこんと乗っていた、つやつやしたイチゴをその口に突っ込んだ。
びっくりして固まる月島。
「ご褒美です」
「……」
「もー、本当モテるから困る!この立ち位置守るのに敵多すぎじゃない?この甘いマスク剥がせたりしないの?」
「美咲先輩」
「いっそみんなの前でキスしたら一気に全部の敵倒せるかな?ね、どう思う?」
「まじで、冗談…」
手の甲を頬に押し付けながら、顔を真っ赤にさせる。よく見ると耳までイチゴみたいな色。
あ、そういえば、と私は付け足した。
「間接キスも恋人同士だからできることだね?蛍」
『ショートケーキ会談』おわり