第3章 3咲目,初陣
ハンジさんに連れられて、私は自分の部屋のソファに腰掛けている。
彼女は私に詰め寄り、何があったのか問い詰めてくる。
そのリヴァイさんとはまた違った、好奇心の迫力に負け、リヴァイさんに告白されたことをポツポツと話し始めた。
全てを聞いたハンジさんはさらに目を輝かせた。
「やっぱり!そういうことだったんだね!」
「?やっぱりって…どういうことですか?」
「前にね、私がリヴァイに、イリアは君の彼女じゃないか?って聞いたことがあったんだ」
「えっ!?なんでですか!?」
「だって、毎日君のところに行って何かと気に掛けるなんて今までのリヴァイなら考えられないから」
「そ…そう、なんですか…?確かに、そういうことする人には見えなかったですけど…」
「だろう?それでね、リヴァイはこう答えたんだ。"今は違う"って」
「今、は…?」
「そう!リヴァイは今は違うって言ったんだ!つまりこれは、イリア、君を本気で自分の彼女にしたいと思ってるんだ!」
本気…彼は、待つと言ってくれた…私のために、我慢してくれているのかな…だからあんなに…気がたっている…?
「イリア、君は最近悩み事があるみたいだと思っていたけど、このことだったんだね。まだ答えは出せていないのかい?」
「…答え…というか…それ以前に…私は、人を愛してはいけませんから…」
「?どういうことだい?」
「…それは…」
私はうつむきながら、人を愛してはいけない理由を少しずつ話していった。
これを話すのは、ハンジさんが初めてだった。
今まで告白してきた男性達を除いては。
しばらくして話し終えると、硬直していたハンジさんが急に私を抱きしめた。
「ハンジ…さん…?」
「…つらかったね…」
「え…」
「そんな辛いことを話してくれてありがとう…」
そう言いながら、私を褒めるように撫でてくれた。
よく頑張ったね、と、そう言ってくれた。
そんな風に言ってくれるとは思わなかった。
卑下され、軽蔑されると思っていた私には真逆の反応が返ってきた。
それだけで、私の心は軽くなった。
それでも、私は…人を愛してはいけない。
この罪は、消えないから。