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レッテル 2

第19章 君、金と薬に溺れていくことなかれ


「薬……抜けきれないんですね。」

亜久里が扉に手をかけたとき、小さく声が聞こえてきた。
棗だ。

ゆっくりと身体を起こし、ジッと亜久里を見ている。

「……うるせぇ。」

「今やめないと、このまま一生何も変わりませんよ。」

「……だから?」

「……もうやめましょうよ。あんたは本当はいい人なんだから、薬になんか負けたらダメだ!!」

静かな部屋に棗の声が響き渡った。

「……何がお前にわかんだよ。」

―――何もかも恵まれているお前に何が分かるんだ。

ドアノブを握った手が僅かにふるえている。
感情が露(あらわ)になっているのだ。
もう、その大きな身体でも隠しきれない。

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