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人狼少女を拾いました

第3章 異変


ユリがじゃれていると、



この狼の群れのリーダーであろうと思われる大きな狼が



ユリの元にやって来た。



周りにいた狼達は、道を開けるかのように避ける。



ユリに一番懐いている子狼も避けるように



ユリから離れた。



「あの狼、なんか寂しそう......。」



まだ幼い狼なだけあって寂しそうな眼をしていた。



「狼にも、人間と同じような感情があるってことだな。」



「藤ヶ谷......。」






「あの狼の耳でっけぇ......。」



「なんか身体つきもボスって感じ......。」



他のメンバーはさっきの狼と比べ物にならない



圧巻差を感じていた。



「グルルル...」



ボスと思われる狼は唸り声を上げ、ユリを見ていた。



「っなぁ、あれ......威嚇してるのか......?」



「あれは威嚇はしていないと思うよ。」



「っおい藤ヶ谷、何でそんな事が分んだよ......。」



そんなこと、調べない限りわかんねぇじゃん......。



「......別に、本で読んだことがあるだけ。」



「......。」
(本当に本で読んだことあんのかよ......。)



本で読んだことあると言われれば納得するはずだが



何故かそうは思えなかった。



「......。」



「......。」



その一方でユリはボス狼と



見つめ合うかのようにお互いを見ていた。



そしてユリはその狼に対して右手を出す......。



「っユリ!」



咄嗟に身体が動いた俺。あんなんじゃ、



いつ噛まれてもおかしくねぇじゃん......。



けど...



狼は噛むどころかユリの差し出した手を舐め始めた。



その光景は人間で言う手の甲にキスをするようにも見えた。



手の甲にキスするのは"敬愛"を示している。



まるであの狼がユリを敬愛を示しているようだった。



俺や他のメンバー、そして周りにいたお客さんと飼育員も



漠然とその光景を見ていた。



「......。」



そんな中藤ヶ谷は、



落ち着いた目でユリを見ていた......。
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