第23章 いってらっしゃい【高尾和成】
毎日オレより早く起きて、毎日昨日と被らないようにお弁当作って、さらには朝飯まで作る
毎日毎日……
『たまにはサボったって良いんだぜ?』
オレが言えば
『和成くんが毎日お仕事頑張ってるんだもん。私に出来るのはこれくらいだから…』
夏姫はそう返す。
高校の時…部活の時だってそうだった。
『あれ…?マネージャー帰んないの?』
『高尾くん、私はまだ………』
最後まで残って体育館や部室の掃除をして、さらには部活なんていつも早く来て、直ぐに練習出来るように準備してる。
もしかしたら真ちゃんまで人事尽くしてんじゃねーの?ってあの時は思ってたけど、違ったわ……
コレが夏姫なんだって
結婚してから気づくなんて
「かっこワリ-よな……オレ」
「……?どうしたの……」
「何でもねえよ……独り言」
朝、寝ぼけながらキッチンで料理してる夏姫の後ろ姿を見ながらぼけーっとするのも悪くない。
「和成くん、顔洗って着替えないと……」
「はいはーい」
この会話だってそう…
『高尾くん、起きて下さい!顔洗って着替えないとご飯食べる時間無くなりますよ!』
『はいはーい』
『ちょっ!!私の前で脱がないで下さい!!』
『あっ…………夏姫のエッチ』
合宿の時ワザと寝たふりして毎回起こしに来てもらったな…
思い返しながらスーツに着替え、戻るとテーブルには並べられた朝飯にキチンと包まれた弁当箱。
「さあ、食べよう」
「見たら余計腹減ってきたわ…」