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【ハイキュー】エンノシタイモウト

第47章 【越えてしまえ】


ボロボロになった美沙を連れ、力は部活を終えて遅くに帰宅する。
今回力は久々に許可を得て体育館に義妹を留め置き、美沙も了承したのだ。仲間は事情を知っていたので月島ですら敢えて何も言わなかった。更にいいのか悪いのか今日も両親が泊まりで留守である。兄妹揃って授業に出ず保健室へ直行した件は今回に限り両方の担任から両親へ連絡が行かなかった、勿論次はないと釘を刺されたけど。

とりあえず憔悴しきった美沙を励まし、着替えて夕飯にしてと2人で何やかんややることを済ませ、力はまた両親がいないのをいい事に美沙を自分の部屋に引っ張り込んだ。

引っ張り込まれた義妹は余程疲れていたのかいつものように戸惑ったりせずぼおっとしていた。力はいつかのようにベッドに座って両腕を広げ、おいでと声をかける。何も考えずにフラフラ入ってきた義妹の体を力は即両腕の中に収めた。これで美沙は逃げられない。いつも通りまずは美沙の頭をポムポムしたり髪を指で梳いてみたりした。更に頬も撫でてみると美沙はビクッと一瞬痙攣(けいれん)する。ああ、可愛いなと思った。そしてされるがままの美沙の顔を見ているうちに縁下力の中にとある衝動が起きた。自覚した瞬間にギクリとする。
いや、本当は前から持っていたけどずっと抑えていた衝動だ。

我ながら一体何を考えている、ただでさえ今日気持ち悪いと言われたばかりなのにそれをしてしまえば今度こそ自分たち兄妹は、でもずっと前から一線を越えるギリギリのところへ今日みたいなことがあったこの状況で我慢なんて無理だとも思う。
そんな風に考えている間、力の指は本能的に美沙の唇をそっとなぜていて美沙がどないしたん、と聞きたそうに力を見ている。

散々グチャグチャと考えた挙句、力の目つきが変わった。何となく異変に気付いたらしき美沙がビクリと体を震わせた。美沙には力の目に覚悟を決めた様子が読み取れたことだろう。
そうして力は美沙の顔を持ち上げる。
父さん、母さん、そして美沙のおばあさん、ごめんなさい、でも、
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