第41章 【青葉城西と遭遇】
「そういや腕輪つけてるけど片方緩くない。取れるんじゃないか。」
渡に言われ、美沙はあーと呟いた。
「兄さんがくれたはええけどサイズようわからんかったらしくて。手をすぼめんかったら大丈夫、私にはようあることです。」
「何だろう、今の返事何かおかしいとこがある気がする。」
「渡あれだ。まず第一に兄貴から貰ったってのが何かおかしい。」
矢巾が呟くが美沙はそっちに反応出来ず、今度は花巻や松川が餌付けしようとしてくるので困っていた。一体及川や義兄はこいつらに何を話したのか。
「よし6番の妹、これ食え。」
「いや飴ちゃんくれるんはええんですけど、ありがとうございます、せやけどくれ方がおかしい気いする。」
「ほらほらこっちもあるよ。」
「ありがとうございますって、私は動物かっ。」
「違うつもりだったの。」
「ちゃうに決まってるでしょ、誰や餌付けみたいな真似推奨しよったんは。」
「及川が食べ物やると懐くって。」
「あのにーちゃん、やっぱり後でやかましく抗議したる。あと、兄さんと岩泉さんにも言いつけたる。」
「言いながら喜んで食ってんじゃん、ツンデレなのか、ツンデレ嫁か。」
「さっきからその、私ら兄妹、国見君に何かしたか。」
そんなこんなしているうちに美沙のガジェットケースの中でスマホが盛大に振動した。
「はい、しもしも」
美沙がふざけると電話の向こうから聞きなれた声がした。
「美沙、まだ帰ってないけど無事か。あと、外で受けを狙おうとしない。」
「げっ、兄さん。」
うっかり美沙が声を上げた為、野郎共が出たよ兄貴だと騒ぐ。特に花巻がタチ悪い。
「おー、来たか過保護。」
「ちょっ、こらっ。」
「美沙、お前今どういう状況。」
義兄の声は穏やかだが美沙はその向こうでにっこり笑って威圧感を放つ義兄の顔が見える気がして嫌な汗をかくしかない。
「えと、その、」
「心配すんなー、誰も虐めてねーぞー。」
「ちょっちょっ、話ややこしくせんといてっ。」
「美沙、どういうこと。何で花巻さんの声がするんだ。」
「えーと、青葉城西の皆様と遭遇しました。」
美沙は汗ダラダラの状態で正直に報告する。
「それで。」
「何かようわからんままに弄られまくってまふ。及川さんと岩泉さんは不在でふ。」