第8章 イエナキコ
大型ルーキーなんて誰がつけたのか知らねぇ。
ただ、そのおかげでこんな風に格下の海賊の襲撃を受けるのは今に始まった事ではないからもう慣れてしまった。
結局、俺が行くまでもなく返り討ちにあったその海賊は今となっては俺たちの資産にすべくその集めてきた宝を強奪されているのだが…。
これだからやめらんねぇよな。
後処理をクルーに任せ、この船の甲板からすぐに出入りできる治療室のドアを開けた。
「済んだぞ…。」
俺が訪ねたそいつは先ほどの喧騒など物ともせずに寝息を立てて寝ているではないか。
少しだけため息を吐いてドアから身を引くと
「え?どうしたのキャプテン?」
いつから俺の行動をみていたのか、ベポが不思議そうにこちらをみてくる。
「あんな喧騒だったのに、寝てやがる。」
呆れ交じりに言えば、ベポは首が外れるのではないかと思う勢いで頷く。
「そっか!!じゃあすっごい疲れてたんだねー!!」
違いないんだろうがな。
踵を返して、船長室へと戻る。
あの拾い物をしたのはほんの一ヶ月ほど前だった。
夜襲を受けた俺たちが、不機嫌を全面に相手を殲滅させた時だ。
思ったより金目のものを積んでいたその船に、機嫌が治ったのは言うまでもない。
しかしだ。
最後まで船を見回っていたペンギンが連れてきたそのガキをみて、俺たちは盛大にまた不機嫌となったのは記憶に新しい。
助からないと思った。
治療して、一ヶ月経った。
脳死の可能性も考えた。
その矢先、今日めを覚ましたそのガキは聞けば「異世界」から来たと言う。
信じられる話ではない。
そこまで考えて今日はじめて会話したガキの目を思い出す。
「ククッ」
ありゃ、随分面白い目だ。
男なら立派な海賊になれるな。
そんな事を思いながら、俺は手にとった医学書を開いた。