第37章 ヒミツ
連れてこられたのは街の一角にある宿の部屋だった。
船にそのまま帰るのだろうと思っていた私は、最初こそ面食らったが宿内で見知った顔が出入りしているのを見て何をともなく納得した。
イスに降ろされて、やっと息をつく。
とても静かなところにある宿で、調度品もどれも品のある光沢が見受けられる。
それなりの階級の人向けなのか、これならゆっくりと休めそうだった。
「トウカ!!」
と、思ったが、飛び込んで来たシャチさんに静けさは破られる。
「怪我はないのか!?何もされてないか?どうなんだトウカ!!」
すごい剣幕で問い詰められた。
キャスケット帽でその表情は見えないが、とても心配してくれていたのだと雰囲気で分かる。
「船長さんが、助けてくれたので大丈夫です。」
しっかりと話せば、彼は安心したように頷く。
「本当なんだな?」
もう一度頷けば、深いため息を吐かれた。
それまでの緊張を、ため息が語る。
「シャチ、船の方は大丈夫そう?」
「おう、船長に頼まれたことは全部済んだし、向こうにはペンギンもいるしな。」
「…ペンギンに押し付けてきたでしょ?」
「…半分はな。」
どこから調達したのか、ベポくんがホットミルクを私達に手渡す。
程よい温かさで、より落ち着けた。