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空ハ青

第4章 ダレモシラナイ


「あのガキきみわりぃよ」

それを聞いてほくそ笑んだ。

「顔はれてたよなー」

完全なる人ごとのようなその声に笑い声が生まれかけたのを飲み込む。

それは腫れるだろうね。

だって、ね。

ふふっ。

「マジかよ何かの病気か!?」

その声に笑い声が少し漏れてしまう。

それに気づいた様に彼らは私を振り向いた。

真面目な顔に戻してから、私はため息を付く。

「やぁねぇ。」

「アリス…。」

熱に浮かされたように私の名前を呼ぶ彼に私は微笑んで見せた。

そしてその目をしっかり見る。

「近づかない方がいいわよ。もしかしたら伝染病かもしれないし…。」

まぶたを震わせながら言えば、面白いくらいに動揺する彼ら。

あぁ馬鹿って良いわね。

単純で、操りやすくて。

「だとしたら海にでも捨てた方が!」

そんなことを思いながら、この船の船医である証拠の白衣のポケットに、手を突っ込む。

「その心配はないわ。私がいるのはそのためよ。」

そう言えば、彼らは信じる。

頬を染めて。

「さすがだな。」

わけもわからずそう納得する。

浮かびそうになる笑みを抑えて踵を返せば、そこにいた誰かが私を腕に抱き込んで、そっと耳に息を吹き込む。

「お前が痛めつけてんのくらい知ってる。」

そう囁く彼に、私はとうとう笑みを漏らす。

「あら?黙認してるの?」

私も背伸びをして耳打てば、甘い顔の彼が不適に笑った。

それは私の好きな顔で。

海賊の船長にふさわしいもので。

「俺にはお前がいるからな。」

そう言い残して去る彼が

「うふふっ」

たまらない。









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