第5章 今剣 そして、二度目の出陣
一向に、加州から連絡が来ない…。加州と今剣がインカムの電源を切ったらしく、様子が分からん。しかも画面は真っ黒。
如何やら、インカムの電源で本丸のウチの部屋にあるモニターと繋がるらしい。こちらの自分のインカムは電源をつけっぱにしている。
「何やってんだ…アイツら…。」
右肘を立てて掌に顎を乗せる。彼是30分以上時間が経ってる…。だからと言って、こちらからは話しかけれないし。
もう、連絡が来るのを待つしかなかった。
【あるじさま!】
突然、少年の声が聞こえて、胡坐を掻いていて膝を思いっきり机の裏にぶつけた。
何も構えてない時に不意打ちにそれは無いよ…。
「痛い…!」
当てた膝を摩りながら、声の主ーー今剣に応える。
「どうしたの?」
【てきが、いました。】
息が切れているのか、呼吸音が聞こえる。
「敵が?」
でも、画面は真っ黒。今、どんな状況なのか見る事が出来ない。
モニターの大元の電源は加州のインカムと繋がっているのかもしれない…。
「ごめん。こっちからじゃ、何も状況が分かんない。」
こちらの状況を言えば、今剣が誰かと話をする。直ぐに画面に色が点され、はっきりと向こうの状況が見えた。
【…敵は二体。両方とも短刀。】
「加州!」
もう聞きなれてしまった声が耳の中で響く。画面では、昨日見たあの蛇みたいな骨と応戦していた。
二人ともあちらこちら、切れていて、赤くなっている。
「何で、インカム切ったの?」
【煩いな…。今、それどころじゃない。】
耳の奥に、刃と刃が交わる独特の金属音が届く。あまりに甲高い音だから、耳が痛くなる。
【今は、不利だとも有利だとも言えない。】
チリンと加州の本体に着けた刀装の鈴が鳴る。すると薄い膜のようなものが現れて、加州の盾となっている。よく見れば、透かした時に見た式神らしい物が敵の刃を受け止めていた。
簡潔に話されて、何と答えたらいいか分からない。
【で、如何する?】
加州が敵の刀を受け流しながら、話しかけてくる。その声は息を求めるかのように、激しく呼吸している。
どうするって言われたって…。見えた瞬間戦いが始まってたのに。
【もうおこった!ほんきでやっちゃいます!】
あの時の加州みたいに服が戦によって肌蹴ている。今剣の真剣必殺が発動した。
今剣は飛び上がった。
