第4章 初鍛刀
★★★
「これが、玉鋼。俺や他の刀剣の本体の主な素材。」
大量に入っている玉鋼とやらの一つを、木の入れ物から取り出し、ウチに渡してくる。
ゴツゴツとした岩石みたいな灰色の塊。木箱の中に視線を移せば、大小様々な同じ物がある。
「刀は木炭で高熱を作り、それで玉鋼を打ち易くして刀の形を作って、冷却材で冷まして、砥石で磨く。これらを行って造られる。簡単に説明すればだけど。」
理解できた?と聞きながら、木箱から玉鋼を取り出していく。
加州の説明は分かりやすくて、理解できた。それはいいのだけど、ウチは馬鹿にされずに説明してくれた事に面を食らった。
「分かった。」
「そう。刀についてなんて、知らないじゃないかと思ったら、案の定だったね。説明聞いて、理解したんなら、とっとと鍛刀するよ。」
両手に大量の玉鋼を抱えて、ウチの横を通り過ぎて行く。
一つ一つ測っていかないといけないの…これ。ウチは木炭を測り持って行こうと思った。
刀は鉄が必要だっていうのは知っていた。でも、それ専用の鉱石があるのには勉強になった。
と言うか、やっぱ刀だからそういうのも知っているのかな。ただ単に、自分が知らな過ぎてるのかな?これからも刀剣と関わっていくのに…。
改めて、刀剣について知識を増やしていかなければと考えた。
★★★
刀を一から作る工程なんて、こんな機会が無ければ、知る事も見る事も無いだろう。
「時間が出ましたね。」
必要な物全て測り終わり、式神に渡した。
こんのすけが入り口から見て、右側の素材入れの上にある木の板を見て言った。
そこには、時間が書かれていた。20分、何を指してこの数字なのかさっぱり分からない。
「この数字って何?」
「刀剣が出来上がる時間です。」
そう言われて、納得した。刀剣一振り作るのに、直ぐに出来上がる訳じゃないのか。しっかりと時間が決まっているんだ。
「因みに、刀剣の種類ごと材料の配合、時間も変わっていきます。」
「刃の大きさとかの関係で?」
「はい。」
分からない事は聞いていこう。聞くのは一瞬の恥、聞かずは一生の恥ってね。よく言うよね、この言葉。
「時間が無いので、これを使います。」
出されたのは昨日見た木の板ーー手伝い札。
「鍛刀でも使えます。なので使ってください。」
手伝い札を受け取り、式神に渡した。