第2章 加州清光
「どうすれば、ここに帰還させれる?」
彼のあの姿を見て、決着が着いたと分かり、こんのすけに聞けば首を傾げて、こっちを見る。
「彼を帰還させるのですか?」
「当たり前だよ!!」
素っ頓狂な口調で聞き返して来る。自然と荒い口調になる。
「当たり前じゃん…。ウチのわがままだけど、まだ謝ってない。許してくれなくても、恨まれても、殺したくない。死んで欲しくない。」
「本当に貴女様のエゴですね。死ねって言っときながら、今度は生きろですか。」
「解ってる。エゴだって。それでも、あの言葉は言おうなんて思ってなかった。言い訳に聞こえるけどね…。」
ははっ…。また自傷じみた乾いた笑いが出る。
もし出来ないなんて言われた時の為に、どうやって帰還させるか考えれば、
「今回だけです。」
部屋から出て行く黄色はそう言った。何処に行くのか気になって付いて行く。
着いたのは、玄関。そこにいてくださいと、付いて来た事に気づいていたのか言う。
何をしたのか解らないけど、ある動作をしたら天井に穴が開く。それを見ていたら、上から何かが落下してきた。
「えっ…。」
それは加州清光だった。あっちこっち傷だらけの姿。ウチの鼻に鉄の匂いが届く。
どのぐらい出血したのか解らない。服が赤く染まっている。
「手当、いえ、手入しますよ。しっかりと謝りたいんですよね。貴女様の思いは解りました。」
先頭に立ち、こんのすけは誘導してくれる。ウチは加州清光の腕を肩にまわして、支えながらついて行く。
(お願いだから…。)
初めに案内された内の一つにあった、手入室に入る。ウチよりもある身長を支えながらはキツイ。先に行ったこんのすけが準備をしてくれていた。
「有難う。」
「いえ。それよりも早くしなければ。」
頷いて床にひかれた敷布団に、彼を倒す。傷に触ったのか、顔を歪め唸る。失っていた意識が、これによって取り戻された。
「…ここは…。」
「起きた…?」
起きるのだって、やっとなのかもしれないのに、上半身を起き上がらせる。こっちを認識した途端、顔を歪める。
そうなるような事をしたから、反論なんて出来ないけど、傷ついた。自業自得だ。
「傷、手当てしないと…。」
綺麗な布を水で濡らし、傷口を拭こうとした手を思いっ切り払われる。
「いいよ、手当なんて。」