第44章 Aiming for an “APPLE”
『……そのままプログラムと消去されたいんですか?』
『ちょっライヴィスウウウウ!!』
ライヴィスの冷たい声とトーリスの叫び声で我に返る。
エドァルドさんのあまりの公式イケメンオーラに圧倒されてしまっていた。
いかんいかん。唐突にお花畑空間が出来上がってしまったが、事態の深刻さを思い出す。
自己破壊プログラムを止めるには、外に出なければならない。
当然うようよいる黒い靄が襲ってくるが、それをかいくぐり、電波塔まで行く。
そして、頂上にある“APPLE”を直接操作する。
そうしなければ、いや、そうすれば、香くんを元に戻せる――
「俺も連れてけ、なんだぜ」
ぎい、という扉が開く音ともに、ヨンスが現れた。
頭と肩に巻かれた包帯が痛々しい。
慌てて駆け寄ると、ヨンスは寝る前と打って変わって、余裕たっぷりな笑みを返してきた。
「まだ傷が……!」
「へーきなんだぜ。公子の一人や二人担げるくらいには!」
「休んでてください。ハッキングなら僕が――」
「あの“バグ”の処理で手いっぱいのくせに、よく言うんだぜ」
「っ!」
図星を突かれたように、エドは言葉を詰まらせた
バグ、とはあの黒い靄のことだろうか?
確かにあれを何人、何個も相手にするのは簡単ではないだろう。
ハッキングの片手間に、というのはエド本人も無理だとわかっているようだった。
「そっちのお2人さん、俺がさっき送ったデータは読み込めそうなんだぜ?」