第42章 諸刃の刃の切っ先で
「どこだここ……誰か知ってますか?」
エドァルドの問いに、トーリスとライヴィスは首を振る。
固まったままの私を見て、エドァルドの顔が曇った。
「公子さん……?」
血まみれのロヴィーノ。
アントーニョに強く握られた手の痛み。
私に何かを託し、涙を頬に伝わせた“彼”。
ゴーストタウンには、そんな記憶が張りついていた。
行きたくないと思ってしまった。
また、誰かを失ってしまうのではないかと――
「プログラムを同期……そんな、ありえない……」
ぶつぶつ呟くライヴィスに、エドァルドの注意が移る。
ライヴィスは頭を抱え、半泣き状態であった。
そこに追い打ちをかけるように、周辺機器のひとつがピピピと音を立てる。
ひいっ! と飛び上がるライヴィス。
同時に、音が鳴った機械の顔面に、青白い図形が浮かび上がった。
「これは、手形……?」
「あっ、触っちゃだめですっ!」
触れようとしたエドァルドを、血相を変えたライヴィスが突き飛ばす。
エドァルドはソファにぽすんと着地。
「ちょ、ライヴィス!?」
「だって、それに触ったら画面の中に行っちゃうんですよ! ゲームみたいに!!」
「「「えっ!?」」」
文句を言おうとしていたエドァルドと、固まっていたトーリスと私の叫び声が重なった。